認知症とは

 認知症とは、いったん正常に発達した脳の機能が継続的に低下し、記憶、判断、思考などの知的機能に支障をきたし、社会生活が正常に営めなくなった状態を言います。
 以前は、「痴呆」という言葉が使われていましたが、軽蔑的な意味合いもあり、尊厳を確保するためにも、現在では「認知症」という名称が用いられています。

 認知症の原因

 認知症の大半は、アルツハイマー型認知症と血管性認知症になります。両方の疾患が合わさった混合型認知症もあります。
 その他、ピック病やパーキンソン病、レビー小体型認知症などの病気により、認知症を引き起こす場合があります。


アルツハイマー型認知症
  徐々に脳神経細胞が障害されて細胞死を起こし、記憶の中枢である海馬を含む側頭葉を中心に大脳が広範囲に障害されます。数分前のことが思い出せない、物盗られ妄想や徘徊などの症状が見られることもあります。
  < 特 徴 >
   ①発症時期が特定できない
   ②徐々に進行し治癒することができない
   ③本人に自覚が乏しい
   ④高齢になるほど発症率が高い
   ⑤原因は特定されていない

血管性認知症
  脳梗塞や脳内出血などの原因により、認知症となります。
  脳血管のどの部分に障害が起きるかにより、認知症の症状の現れ方が異なります。また、小さな梗塞を繰り返すか、大きな梗塞となるかによっても異なります。
  < 特 徴 >
   ①発症時期が比較的明確
   ②何らかの身体的疾患(高血圧など)を有する場合が多い
   ③段階的に悪化する
   ④末期まで病識がある場合が多い
   ⑤日常生活動作(ADL)の低下を伴う

 認知症ケアの基本

 過ごしてきた人生、その中で作られてきた性格、価値観、あるいは現在の認知症の原因疾患、進行状況、健康状態など、認知症高齢者の状態と言っても、一人ひとり異なっています。
 暴力行為や徘徊など行為1つ1つをとっても、その人固有の理由があり、出現する時間帯も異なれば頻度、持続時間も異なります。
 こうした状況に対して、「こうすればいい」というマニュアルは存在しません。その人のことを十分に理解して、見守ればよいのか、すぐに手を出せる状態であればいいのか、一緒に歩いた方がいいのか、気をそらせた方がいいのか一人ひとり異なってきます。さらには、声かけの仕方も工夫が必要です。
 私たちは、認知症ケアの基本を大切にしながら、少しでも安心していただき快適な空間の中で周辺症状の緩和を目指していきます。

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